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リサイクル業界にも業界再編の波がやってくる? (177号 2009年6月)

ミスターリサイクル
 需要と供給のミスマッチを解決するには
 今やリサイクルは、地球環境問題の解決手段のひとつとして、日々、ニュースとして取り上げられている。しかし昔からリサイクル業は存在していて、それこそ江戸時代には『紙くず買い』や『古着屋』、『とっけえべえ(今の金属回収業)』など、様々な資源の回収が業としておこなわれていた。
 その頃は、天然資源である木材からパルプ(紙の材料)を作ったり、鉄鉱石から鉄を取り出すことが非常に手間のかかったこともあって、都市資源(市中から発生する資源)の回収が日常的におこなわれていた。なにしろ物を作るための資源が不足しているので、再利用することが当たり前だったのだろう。
 現在は、産業革命によって天然資源を効率よく大量に取り出すことができるようになったことで、大量生産・大量消費による大量廃棄の構図が生まれた。それが、物を作るのに必要な資源の量よりも、廃棄された中にある都市資源の量が上回ってしまうという「需要と供給のミスマッチ」を作り出している。
 4月20日、環境省は「緑の経済と社会の変革」を発表した。政策の中で、昨年までの諸外国への循環資源の流出による資源価格の高騰と、その後の資源価格の暴落がリサイクル関連事業に大きな影響を与えることが問題視されており、リサイクル市場における「需要と供給のミスマッチ」を解決するための措置を、国として検討することが明文化されている。
 また、「緑の経済と社会の変革」の発表と時を同じくして、中京圏、近畿、北海道・東北・北陸を代表する大手古紙問屋3社の業務提携が報じられ、3社の合計取扱量が年間約260万トン、国内シェアは12%にもおよぶ巨大ネットワークが誕生した。
 大量リサイクル社会が生み出した「需要と供給のミスマッチ」問題は、誰かがひとりで解決出来るような簡単なものではない。だからと言って何もしないでいるわけにもいかないとすれば、経済変動や資源価格の乱高下に左右されない仕組みづくりこそが、リサイクル業界に課せられた社会的な使命ではないだろうか。
 国内の資源需要の減少が見込まれ、経営環境の悪化が懸念されている今、いよいよリサイクル業界にも、生き残りを賭けた業界再編の波が押し寄せてきている。
ミスターリサイクル